~お説教~
深守「ちょいと」
結江「ち、父上…っごめんなさい」
深守「…そこ、座んなさい」
結江「はい…」
深守「……で、この破れた障子はなんだい」
結江「う、腕を…突っ込みました」
深守「それで?」
結江「た、楽しくなっちゃった…」
深守「はぁ……子供ってのは皆同じなのねぇ…」
結江「……?」
深守「ここだけの話。耳貸しなさい」
結江「???」
深守「実はね、母上も昔同じことをしていたわ」
結江「母上が…?」
深守「昔は結江に似ていた」
結江「へぇ…意外」
深守「でもやっていい事と悪い事くらいわかるでしょう」
結江「っはい、ごめんなさい」
深守「もうしないって約束できるかい?」
結江「できます! します! 許してくださいっ」
深守「まぁ今回だけは許してあげましょ。結江、ついでだわ。ここにある障子全部破りなさい」
結江「いいいいの?」
深守「いが多いわね。汚れてるし全部張り替えちゃいましょ」
結江「!!」
結望「なんか物音がするんだけど…」
深守「障子破ってるわ」
結江「見たらわかるけど…一体どういう流れなの?」
深守「まぁまぁ。ほら、深雪もやってみなさい」
深雪「え…っ」
結江「こんな感じ! えい!」\バンッ/
深雪「い、いいの…? えいっ」\パンッ/
深守「うん。可愛すぎるわね」
結望「もう…甘いんだから。じゃあ、張り替えの準備してくるね」
深守「ありがと」
結望(――あぁ、なんだか昔を思い出してしまったわ…。あの時…、確か深守はお母様の代わりに私を叱ったっけ。その後は今回みたいに三人で破って張り替えした…気がする。懐かしい、こんな風に過去のこと思い出すなんて思いもしなかった。嬉しいな)
~恋愛相談~
結江「母上様」
結望「…あら、改まってどうしたの?」
結江「相談、したいことがございます」
結望「えぇ、何かしら?」
結江「私…ね、阿希のことが……す、好きなの……」
結望「…まぁ! 結江がそこまで阿希さんのことを思っていたなんて…私は嬉しいですよ」
結江「で、でも…阿希ったら私のことからかってばかりいるの。だからね、母上に恋愛相談…を…えへへ」
結望「そうね…でも、からかってるっているのはきっと、結江のことが好きっていうものの現れだと思う…のよね。父上がそうだったから…」
結江「……うーん、そういうものなのかしら」
結望「私はそう思うけどなぁ…。阿希さんならやりそうだもの。…あ、そうだ。結江は阿希さんに何かしたいことってある?」
結江「したいこと…?」
結望「えぇ、何か渡したり、手料理振舞ったり。阿希さんに思いの丈を伝えられそうなこと」
結江「で、でもそれ、恥ずかしい…じゃない」
結望「絶好の好機だと思うけど…文を渡すとか?」
結江「一番恥ずかしいですっ」
結望「ふふふ、ごめんね。でも、結江が恋愛相談してくれる歳になったのね…嬉しいな」
結江「…大きくなったでしょ?」
結望「えぇ、とっても」
結江「母上、大好きです」
結望「私も、結江のことを愛していますよ」
結江「あ、でもこのこと父上には内密で…とてもとても恥ずかしいの」
結望「はいはい、わかってます。私ならいつでも相談に乗りますから」
結江「絶対だからね…!」
外にいた深守
深守(…耳が良いってのも玉に瑕だねぇ。影で応援するわ、結江…!(血涙))
~うちの子かわいい②~
深雪五歳
深雪「ちちうえだっこ…」
深守「くっかわいい…いいわよ。いっぱい抱っこしたげるからね」
深雪十二歳
深雪「父上」
深守「かわいい」
深雪「まだ何も言ってないのですが」